6歳~向けの絵本です。
「トラのじゅうたんになりたかったトラ」
ジェラルド・ローズ文・絵 ふしみみさを訳 岩波書店 2011年
昔のインドのお話です。年老いて獲物をとれなくなり、やせこけたトラがいました。トラは、宮殿でごちそうを食べている王様たちがうらやましくてたまりません。ある日、庭で召使いがトラの毛皮のじゅうたんを干しているのを見て、名案がひらめきます。
年老いたトラは、じゅうたんと入れ替わり、宮殿での生活を手に入れます。食べ物に困らなくなり、だんだん毛並みがよくなって、ふっくらとしてきました。そんなとき、宮殿に3人の泥棒が忍び込んできて―。
物語の随所に笑いを誘う場面が用意されています。注目してもらいたいのはトラの表情です。本物のトラだとばれなかったときに見せるうれしそうな笑顔や、じゅうたんとして洗濯されて固いブラシでこすられたときの情けない顔。本物のトラだと気づかない王様や召使いたちのとぼけた表情も愉快です。
トラが宮殿にすみつくまでのストーリーや、泥棒が登場した後の展開はスリル満点。色鮮やかな絵も子どもの心をつかみます。(36)