図書館からのオススメ絵本 ~vol.182~

0~2歳向けの絵本です。

『いっこさんこ』及川賢治・竹内繭子 作 文溪堂 2017

 

はじめに大きなかぼちゃが1個登場します。ページをめくるとかぼちゃは3個になります。イラストに合わせて「いっこ、さんこ」という言葉が何度か繰り返された後に、描かれるものの数の法則が変わり、「いっこ、いっこ」になったり、「さんこ、さんこ、いっこ、さんこ」になったりします。絵本に出てくる言葉は「いっこ」と「さんこ」だけですが、韻を踏むことでリズム感が出て、歌うような楽しさが生まれます。

赤ちゃん向けの絵本は、食べ物や乗り物など分かりやすいテーマが多いものです。でも、この絵本で描かれるものは少し変わっています。かぼちゃの次に出てくるものは一見ブタのようですが、背中の太い線はコインの投入口に見えます。「いっこ」と数えられるそれは、ブタの形の貯金箱なのでしょう

もちろん、イチゴや積み木など定番のものも描かれていますが、それらと同じように、ひもの結び目や木の端材も「いっこ」「さんこ」と数えられています。

「1」と「3」という「数」を、リズミカルな「音」としても認識させる力。一貫性のないものにも自然に親しませる力。読んでもらっている子どもの笑顔を思うと、改めて絵本が持つ可能性の大きさを感じます。(36)