図書館からのおススメ絵本 ~Vol.149~

3~5歳向けの絵本です

『ちいさなねこ』 石井桃子/さく 横内襄/え 福音館書店 1967年

大きな部屋からたった一匹で飛び出した小さな子猫。人間の子どもに捕まったり、車にひかれそうになりながらも進んでゆきますが、とうとう大きな犬に木の上へ追い立てられてしまいました。助けを求める声を聞きつけた親猫は同じ道を難なく通り、子猫のもとへ向かいます。

1967年に発行されたロングセラー絵本で、よくよく見ると車や通りの風景は昭和そのもの。令和の現在からすると少し古ぼけて感じるかもしれません。しかし「くまのプーさん」の翻訳で知られる石井桃子さんによるシンプルな言葉えらび、そして横内襄さんの写実的で温かみのある親子猫の描写は、読者をすんなりと物語に引き入れてしまいます。

絵本の最後の場面は、親猫によりそってお乳を飲む子猫の姿。小さな体で大冒険をする子猫に感情移入した子どもたちへ、幸福感をくれる1冊です。(by yam)