図書館からのおススメ絵本 ~Vol.153~

3~5歳向けの絵本です。

『おやすみなさいおつきさま』

マーガレット・ワイズ・ブラウン/さく クレメント・ハード/え

せた ていじ/やく 評論社 1979

まだ明かりが煌々とともる大きなみどりの部屋にいるのは、青い縞模様のパジャマを着た子うさぎと編み物をするおばあさん。そのほかに、電話や赤い風船、絵の入った額縁、さらには子猫やねずみなど、思わずお部屋にお邪魔したくなるくらいたくさんのものがあります。

ベッドに入った子うさぎは、部屋中のものたちを数え上げ、その一つ一つへ「おやすみ」と語りかけます。おわりには星や夜空、音にまでおやすみを告げて眠りにつきます。

はじめは鮮やかに見えていたみどり色の壁紙はページが進むごとに暗くなり、反対に暖炉の炎や窓から見える星の輝き、少しずつ中点へ昇ってゆく月は明るさを増して描かれます。暖かく安心できる部屋で眠りにつくまで、ゆっくりと流れるしあわせな時間そのものを絵本にした一冊です。

 

ところで、子うさぎのベッドの正面の壁には、川に入ったうさぎが小さなうさぎを釣り上げている絵が飾ってあります。実はこれ、絵本『ぼくにげちゃうよ』(ほるぷ出版、1976年)のワンシーン。『おやすみなさいおつきさま』と同じ、ブラウンとハードの作品です。(yam)