0~2歳向けの絵本です。
『くろねこかあさん』 東君平/さく 福音館書店
黒ネコが赤ちゃんを産みました。生まれたのは、白ネコと黒ネコ3匹ずつでした。「くろねこかあさん/あかちゃんうんだ/しろねこさんびき/おちちをのんだ/くろねこさんびき/あそんでばかり」。語感のいい文章で母さんネコと子ネコたちの姿を歌うように描いていきます。
絵は切り絵作品です。その絵に施されたなんとも可愛らしい仕掛けは、黒い紙を切り抜いて3匹の黒ネコにして、その切り抜かれた黒い紙の白抜き部分を3匹の白ネコに見立てていること。同じシルエットでも、お乳を飲んでいる白ネコと遊んでいる黒ネコに見えてくるのが不思議です。全く違う様子を想像させてくれることに気づくと、さらに楽しさも増します。また、はっきりとした白と黒のコントラストは、視力が未発達でも認識しやすいので、小さな子どもも親しみやすいでしょう。
いつも3匹ずつ、違う行動をしている子ネコたちですが、最後の場面ではみんな一緒、母さんネコのそばでぐっすりです。「くろねこかあさん/やさしいかあさん/しろねこさんびき/すくすくそだつ/くろねこさんびき/すくすくそだつ」。たくさん遊んでたくさん食べて、健やかに育ってほしいという親の願いは、ネコも人間も同じですね。(36)